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海外で働く日本人は、大きく分けて「駐在員」と「現地採用」の2つに分かれます。ここでは、「駐在員」についピックアップして見ていきたいと思います。
駐在員として海外で働きたいと考えているのだけど、「駐在員の待遇・給与はどうなの?」「海外駐在できる企業や仕事はどこに?」「駐在員として働くにはどのようにアプローチしたらいいの?」「海外駐在のメリット・デメリットは?」など、いろいろ分からないこともあったりしますよね。
ここでは、そんな疑問に答えていきたいと思います。参考になれば幸いです。
海外駐在員とは
駐在員とは、日本企業の日本法人に採用されて、会社命令で海外拠点に赴任している人のことです。任期は、会社によって変わってきますが、大体3年から5年が一般的となっています。
海外駐在員の役割
駐在員の役割は、日本の本社と現地事務所のつなぎ役で、現地事務所の重要なポジションに就きます。本社の意向を聞いて現地を動かす仕事が基本になります。
もう少し具体的に言うと、海外駐在員は以下のような役割を担うことになります。
- 海外事業所の多岐にわたる業務の「実務担当者」
- 現地化推進の「指導員」
- 会社の利益確保、発展を目的に設立された海外事業所の「経営者・管理者」
海外駐在員の待遇・給与
駐在員は日本採用で、給与も日本から支払われます。また、日本の給与とは別に現地の住居費なども会社持ち。さらに条件によっては運転手付きであてがわれ、接待費など経費も落とせたりと、日本にいるときより金銭的に余裕がある生活を送れる場合が多いです。
年収は日本での金額よりも1.5倍程度が相場とされている。加えて、海外で支払う税金は企業が負担する場合が多いため、手取りとしては1.8倍まで跳ね上がるケースも。
各種手当について
海外勤務者に対しては、基本給のほかに、各種の手当を支給することが一般的です。代表的なものとしては、「海外勤務手当」「ハードシップ手当」「単身赴任手当」「住宅手当」などがあります。
海外給与総額のうち、基本給の占める割合は、通常、その半分以下に過ぎず、各種手当の金額が、海外給与に大きな割合を占めると言っても過言ではありません。
海外勤務手当
海外勤務手当とは、海外勤務に伴う苦労や不便を金銭で補償するための、いわゆる海外勤務に対する奨励金をいいます。
ハードシップ手当
ハードシップ手当とは、⽣活環境(治安、気候、⾷⽣活など)の厳しい地域に勤務する駐在員への慰労⾦として⽀払われるものです。
単身赴任手当
単身赴任手当は、家族を日本に残して海外に赴任する社員に対して支給される手当です。配偶者や扶養家族を国内に残して海外赴任すれば、二重生活となって住宅費や生活費などが上昇しますので、そのコストの補填、そして家族との別居に対する心身ストレスを慰労する意味を込めて支給されます。
その他の手当
企業によってばらつきがある手当で、金銭で支給される場合のほか現物支給されている場合もあります。赴任地へ家族を帯同する場合に支払われる「家族手当」、現地で子女に教育を受けさせるときに支払われる「子女教育手当」、本人が一時日本に帰国するため企業が負担する「一時帰国手当」、赴任や帰任手当、海外勤務者が住む住宅手当(現物支給が多い)、通勤用の車両手当(現物支給が多い)などです。
海外駐在できる企業や業界
海外駐在員を目指すのであれば、当然ながら、海外に支社などがあり、海外駐在の枠がある企業に入社する必要があります。
海外駐在の枠が多ければ多いほど、海外駐在のチャンスも高くなります。そんなチャンスが多い企業・業界はどこなのか以下に見ていきたいと思います。
海外駐在がある企業・業界例
総合商社
三菱商事、住友商事、三井物産、丸紅、伊藤忠商事、豊田通商、双日など
専門商社
伊藤忠丸紅鉄鋼、メタルワン、長瀬産業、JFE商事など
自動車メーカー
トヨタ自動車、日産、いすゞ自動車、マツダ、スズキ、三菱自動車工業、日野自動車、ダイハツ工業、SUBARUなど
自動車部品メーカー
デンソー、ブリヂストン、アイシン精機、矢崎総業、豊田紡織、豊田合成、豊田自動紡機、横浜ゴムなど
電機メーカー
ソニー、キャノン、日立製作所、パナソニック、富士通、三菱電機、リコー、NEC、セイコーエプソン、シャープ、富士電機など
電子部品メーカー
ミネベア、村田製作所、京セラ、日本電産、TDK、ロームなど
化学メーカー
住友化学、東レ、富士フィルム、三菱ケミカル、三井化学、旭化成、日立化成、信越化学など
機械
コマツ、ダイキン工業、クボタ、IHI、三菱重工業、川崎重工業、日立建機、ヤンマーなど
建設
日揮、鹿島、清水建設、大林組、竹中工務店、大成建設、安藤ハザマ、フジタ、五洋建設など
海運・運輸
日本通運、商船三井、川崎汽船、日本郵船、郵船ロジスティクス、近鉄エクスプレス、阪急阪神エクスプレスなど
銀行・証券
三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、野村證券、大和証券グループ、SMBC日興証券、みずほ証券など
海外駐在を考えるのであれば、商社、自動車や電機などのメーカーあたりを目指すのが王道になるかと思います。
海外駐在できる仕事は?
海外駐在できる仕事、海外駐在の案件で求人が多いものとしては以下が挙げられます。
海外営業
海外営業は、海外勤務の求人の中でも最も多い職種のひとつに挙げられます。企業がアジアを中心に海外進出を進めており、現地にある日系企業・現地企業への営業、海外販路拡大、新興国など新規マーケット開拓等、海外営業職の需要が結構あります。
ITエンジニア・SE
IT関連の仕事も需要が多いです。日系企業の海外進出に伴い、必要となるのが現地法人のIT化です。しかし、海外に進出しているIT以外の業種では、ITにそれほど明るくないことが多いです。そこで日本のIT会社、システム会社が海外拠点を構え、現地海外のITサポートなどの仕事をしています。
そこで必要とされる人材は、主に、システムエンジニア(SE)、プロジェクトをディレクションするプロジェクトマネージャ(PM)、そして、システム化を戦略立案するITコンサルタント、セールスエンジニアといったあたりになります。
工場管理・品質管理・生産管理
海外展開している日本企業で多いのが製造業(メーカー)になります。製造業では、海外に生産拠点を構えている企業も多く、工場の生産管理・品質管理、工場長などの管理職などといった仕事があります。
建築施工管理・工事管理
アジアの新興国などでは、まだまだ発展途中で、開発はこれからというところも。そういうところでは土木や建築関係のプロジェクトもあります。
例をあげると、日系企業の海外工場から空港、港湾、 病院などのインフラストラクチャー整備における、電気設備、空調設備、 衛生設備、情報通信設備、プラント設備など幅広い分野の仕事があります。
海外駐在の求人を探すには
海外駐在の求人を探す場合、2つのアプローチがあります。1つ目は、自分でネットを活用して片っ端から、海外進出している企業のHPをチェックしたり、転職サイトの「リクナビNEXT」を使って、海外駐在の求人をが出ていないかチェックするといった方法です。
もう一つは、転職エージェントを利用する方法です。国内の転職では、ほとんどの方がすでに転職エージェントを使っているかと思いますが、海外の求人を探す際にも、利用することができます。
転職エージェントでは、表には出てこない非公開扱いとなっっている海外求人も多数持っているので、自分で調べきれない情報を紹介してもらうといいでしょう。また、履歴書の添削や面接対策など、転職活動全般をサポートしてくれるので、心強い味方となってくれます。
この両方のアプローチを同時に進めていけば、ある程度情報が入ってくるので、そこから自分にあった求人にアプローチしていくといいでしょう。
海外駐在を目指す方におすすめの転職エージェント
リクルートエージェントであれば、海外関連、グローバル企業の求人も扱っており、あなたの条件に合った案件を色々と紹介してもらえますよ。
リクルートエージェント
海外駐在、海外勤務を目指す方が抑えておきたい転職エージェントは「リクルートエージェント」になります。「リクルートエージェント」は、名前の通り「リクルート」が運営する国内最大手の転職エージェントです。
リクルートエージェントなら、海外展開しているグローバル企業ともコネクションがあるので、海外駐在の求人についても多数保有しています。
転職成功実績No.1。海外に精通した専任のキャリアアドバイザーもいるので一度相談してみるといいでしょう。
海外駐在員に求められる能力
海外駐在員になるには、単に語学が得意である、また海外が好き、ということだけでなく、①職務の専門性②組織や事業のマネジメント力③語学力・異文化対応能力の3つを併せ持っていることが求められます。
あと、「本社と現地事務所のつなぎ役」を担う駐在員は、日本からの要求と現地の事情とで板挟みにされがちだったりします。
現地は法律や働く人の習慣が異なるため、日本と同じように仕事を進めるのが難しい場合があります。現地と本社との間に立たされる駐在員は、現地の仕事の仕方を尊重しつつも、本社の要求する仕事をこなしていく必要があります。
海外駐在のメリット・デメリット
海外駐在のメリット
駐在員は給与面でかなり優遇されています。駐在しているところが中国や東南アジアだったりすると物価も安く、それにかつ、日本にいるときよりも支給額が多くなるので、かなり恵まれた生活を送ることができるでしょう。
また、「本社と現地事務所のつなぎ役」である駐在員と、「日本人スタッフと現地人スタッフのつなぎ役」である現地採用では、地位においても大きく異なってきます。駐在員は、会社の経営戦略の1つとしての現地事業という枠で、重要なポジションを担うことができます。
海外駐在のデメリット
駐在員は会社次第。基本的に行く国を自分で選ぶことができません。また、会社が日本に戻れと言ったら戻らなくてはなりません。なので、現地採用より自由度は低くなります。
あと、駐在員は日本からの要求と、現地の事情とで板挟みにされがちです。現地は法律や働く人の習慣が異なるため、日本と同じように仕事を進めるのが難しい場合があります。現地と本社との間に立たされる駐在員は、現地の仕事の仕方を尊重しつつも、本社の要求する仕事をこなさなれければなりません。
海外駐在員を目指している人は今のうちにチャンスを掴め!
海外進出している日系企業の駐在員枠はこれから削減する方向に向かっているようです。
理由は単純に、海外駐在員一人当たりのコストが高いと言うこと。もう一つの理由として、駐在員が現地の重要ポストを務めているために、現地人や現地採用の日本人が頑張っても重要ポストに就くのは難しい。そのため、モチベーションが保てずに良い人材が辞めていったり、欧米企業に流れていくという傾向が出てきている状況もあります。
今後は日系企業全体としては、駐在員を削減していき、現地の人たちのチャンスを拡大していく流れになることが予想されます。
よって、まだ海外駐在員の需要がある今のうちにチャンスを掴むのが得策かと思います。まずは今できることから具体的に動いてみてください。