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海外で働きたい人の中には、もう既に現地採用という働き方について熱心に研究してらっしゃる方も多いでしょう。現地採用で働く日本人のブログなども増えてきましたので、インターネットを通じて生の声を聞けるのはとてもありがたいです。
しかし、メリットばかりあげているブログや、デメリットばかりをあげているブログもあり、なかなか中立的な立場で現地採用について書いてあるブログなどは多くはありませんし、実体験に基づかないものも含まれています。
今回は実際に現地採用として働いたことのある筆者の経験を交え、メリットやデメリット、そしてどちらにも属さない「単純に驚いたこと」などを紹介したいと思います。
メリットは給料?高給取りと言われる理由
日本人は日本人としての生活が欠かせない
現地採用という働き方は、もうご存知の方もおられるかと思いますが、日系企業ですと日本の本社ではなく、あくまで現地に設立された現地法人と直接雇用契約を結ぶわけです。
例えば東南アジアですと、「現地で働くのだから、物価も安いしお給料も格安なのかな」と思いきやそうでもありません。物価に何倍もの開きがあるのに、日本人の給与は最低でも日本の大卒新入社員くらいはあります。
つまり大体20万円くらいはもらえるということです。それだけあれば、物価の安い東南アジアで豪遊ができるのではないか?と思われますが、案外そうもいきません。
例えばフィリピンでは電気代が異様に高いので、クーラーをつけると一人暮らしでも月に1万円はくだらなくなりますし、所得税がとても高いので、日本人のお給料だと6万円から7万円は引かれてしまいます。
しかし、24時間警備員付きで家具もすべて揃っている1LDKの部屋を借りても4万円もしませんので、ゆったりとした1人暮らしができますし、食事も自分で作るよりはローカルフードで済ませれば1日500円程度で済みます。
日本人はやはり狙われやすいので、会社もキチンとした警備のあるコンドミニアムなどを紹介してくれますので、20万円でも悠々自適な生活を送ることができるのは日本では考えられないメリットです。
仕事もプライベートも、海外を満喫できる
海外で働くということは、つまり異文化に溶け込むことです。年を重ねれば重ねるほど、保守的になってしまい、なかなか海外へ行こうという決心ができなくなるでしょう。しかし、若い20代や30代のみなさんにとっては、成長のチャンスです。
異文化で暮らすということは、人間として大らかになれるという大きなチャンスです。仕事においても多国籍の方と接しますので、相手のバックボーンを理解しようという姿勢が生まれますし、多少のことでは動じなくなってきます。
そうした大きな心の余裕やゆとりが育まれる環境が、海外にはたくさんあります。フィリピンでは毎年のように台風が来て、床上浸水することも稀ではありません。出勤できなくなっても「仕方がない、待つしかない」というだけです。
日本のように無理に出勤しようとすれば、命に関わります。日本では当たり前のことが、海外では当たり前ではありませんし、その逆だってありえます。そういう経験をし、何事にも動じなくなればこの先どこでも生きていけるでしょう。
デメリットは不安定さ?将来はどうなるの?
駐在員になれる人はほとんどいないという現実
たまに、海外で現地採用として働いて、いずれは駐在員になりたいと考えている人に出会いますが、はっきり言ってそれはかなり困難なことです。
そもそも駐在員というのは、日本で就職活動をして、本社に採用された人の中から毎年人事異動で何人か選出され、派遣されるのです。本人の語学レベルはかなり無視されており、英語ができようができまいが海外へ送り込まれます。
というのも、駐在員の仕事は現場と日本を繋ぐことがほとんどで、メールも日本本社から毎日大量に来ます。
一方で現地採用の日本人は、他の現地スタッフと同じレベルで働きますが、日本人の顧客を多く抱え、時には通訳や翻訳もするので、業務の内容や役割も違うのです。
将来的に駐在員になれる人はかなりの好成績を収めた人です。本社も駐在員としての費用を払うだけの価値があると見込んだ人でないといけませんので、相当な努力だけでなく運も必要なのです。
縛られない生き方はメリットでありデメリット?
デメリットとして言うならば、縛られない生き方は不安定さの裏返しでもあります。現地採用の日本人は、本社から派遣された駐在員と違って、厚生年金などの手当てもありませんし、1年ごとの契約更新である契約社員の形態が多く、退職金もありません。
駐在員になると、最初は中国、次にベトナム、そしてフィリピンなど各国を転々としている人もたくさんいます。「一度駐在員になると、日本ではもうやっていけない」と自虐的に言う駐在員もいますが、これは半分本当でもあります。
海外の生活に慣れきってしまうと、なかなか日本のビジネススタイルが堅苦しく逆に違和感を感じてしまうのです。それでも会社にずっと所属していられるので、安定した生活は望めます。
しかし現地採用は余程でない限りは契約更新を見送られることはありませんが、切られないという保証もありません。もちろんこれは駐在員にとってもそうです。日本の本社が大赤字になれば、多額をつぎ込んで駐在員を派遣している場合でもありません。
しかし、日本人はどこに所属しているのか、何年勤続したかを今でも大切にする人が多いのも現実です。
自分で道を切り開き、いつかは海外で独立しようと思っている方には向上心をアップさせる大きなステップと言えますが、安定を求める方にはデメリットとなるでしょう。
さいごに
デメリットでもメリットでもないことの1つに、「自分は外国人である」ということを否応なしに感じることがあります。
ビザの更新だの、パスポートを提出しなくてはならないだの、海外で働いていると「ああ、自分は外国人なんだ」と思うことがありますが、島国で生まれ育った大半の日本人にとって、アイデンティティを自覚する場面はそうそうないでしょう。
どんなに安い物件に住もうとしても、周りの現地スタッフが止めに入ります。「あなたは日本人なのだから、やめておいた方がいい」
日本人というだけで一種のブランドであり、強みでもあり、弱みでもあるのです。特に犯罪に巻き込まれないようにしなくてはならないと、常々感じました。もちろん現地の方と結婚して幸せに生活なさっている現地採用の日本人もいますので、幸せの形はそれぞれです。
現地採用という働き方を選んだら、生き方も変わることは念頭に置いておきましょう。