憧れの海外就職に対して、不安も期待も入り混じっていると思いますが、まず海外就職をする前に、絶対知っておきたいことがあります。
それは年金や生命保険など「生きていく上で必要」な物事の手続きです。今まで会社が控除してくれていた年金や税金などの費用、また個人で入っていた生命保険は解約すべきなのか掛け続けておくべきなのか。
ここでは、海外で暮らすということと切っても切れない関係の物事について紹介したいと思います。
年金や健康保険はどうなるの?住民票を抜くと言うこと
住民票には国民年金や健康保険がリンクされている!
今まで会社勤めであった方はお分かりだと思いますが、社会保険や厚生年金に入っていますので、給料から毎月控除されていると思います。自営業の方は、国民年金と国民保険に入っています。
しかし、海外渡航のために住民票を抜くと、これらは使用できなくなります。もっと厳格的に言えば、健康保険は使用できなくなりますが、年金は任意で支払い続けることも可能です。
特に、健康保険に関してはとても重要です。会社が保険や年金を負担している駐在員の方は、一時帰国しても保険が使えますが、そうでない現地採用者などは自分で年金を支払い続けるか、海外にいる間は年金を支払わないかの選択をしなければなりません。
また、保険も使えなくなりますので、日本に一時帰国した際に病院にかかると、10割全ての負担となってしまいとても高額です。
しかし、住民票を抜かないでおくと、住民税が発生しますし、1年以上の渡航は原則として住民票を抜くことになっています。前年度の収入から、住民税が適用されますので、海外渡航のタイミングも大切です。
海外で怪我や病気をしたらどうするの!?海外旅行保険とは
海外旅行保険とは、海外渡航のその日から使える保険で、病気や怪我に対しての治療費や薬剤費、また搬送費などを負担してくれるものです。これは大抵の場合、会社が負担して入ってくれますので、あまり心配はしなくても良いでしょう。
しかし、なかには海外旅行保険は自己負担という会社もありますので、その場合は自分で加入しなくてはなりません。
基本的に海外旅行保険で賄えるのは、海外で起きた偶発的な事故による怪我や病気であり、発症の特定が不可能である歯科治療や精神疾患、また糖尿病などの慢性疾患、妊娠などは免責事項とされています。
将来現地で結婚、妊娠する可能性のある女性はこのあたりの免責事項には注意しておくべきです。地域によっては24時間の日本語サポートや医療通訳などもあるので、海外旅行保険は日本の会社のものを選ぶとベストだと思います。
生命保険はどうすべきか?万が一に備える!
保険会社によって海外からの請求もできる!
基本的に海外で怪我や病気などをして入院してしまったら、給付金を受け取る手続きがいくつかあります。
まず、国内の代理人に請求手続きをしてもらう方法、日本に帰国した際に請求してもらう方法、そして保険会社によっては、日本の生命保険を海外から請求することもできます。
だいたいの保険会社は代理人申請と帰国時の請求を受け付けていますが、海外からの直接請求はできる会社とできない会社があるので、自分が今加入している保険の約款にどう記載されているか確認しましょう。
また、海外送金の金額も500万円までとされていますので、大きな手術や近隣諸国への搬送などを行った際は要注意です。
特に東南アジアでは医療の発達がまだ日本ほどではありませんので、医療の発達した国や、日本に飛行機などで医師とともに搬送されることがあり莫大な費用がかかることもあります。時に救援車費用と言って、海外へ親族を招く費用もかかるので、その辺りが支払われるのか海外旅行保険と見比べましょう。
海外渡航のしおりを貰っておくことが重要
日本の生命保険会社のほとんどは、「海外渡航のしおり」というものを作っています。もし海外に移住することになっても、将来また日本に帰ってくる可能性の高い方は加入し続けていた方が安心です。
保険は年齢を重ねると新規で加入する条件が厳しくなりますし、万一のことがあっても満額出るとは限りません。また、海外で被った事故や怪我などをどこまで保障してくれるのかなど、手続きの流れが詳しく書かれていますので、1冊は医師に渡して記入してもらう用に、もう1冊は手元に置いておくハンドブックとしてもらっておくといいでしょう。
さいごに
海外に渡航するとなると、まず住民票とリンクしているものが外れるということは絶対に知っておくべきですし、もし将来日本に帰国する意思が少しでもあるのなら、日本の恩恵を受け取っておくべきです。
正直に言うと、日本ほど社会福祉制度が公平で公正な国はあまりありません。福祉の発達している北欧では、引き換えにとても多額の税金を支払わねばなりません。もし日本の恩恵を少しでも受けておきたいのならば、個人で年金を払っておくのも一つの手段でしょう。
なお、公的機関手続きについてはこちらをチェックしてください。