海外で就職するのが初めての方にとっては、もしかすると海外生活そのものが初めてという方もおられるでしょう。短期の語学留学などで、学校の運営する施設や寮に住んだり、ホームステイをしたことがある方もおられるかもしれません。
しかし、学校生活と社会人の生活は全く異なります。ましてや一人暮らしとなると、何もかもが初めてです。家を借りて、炊事をしたり買い物をしたり、仕事以外にも慣れないといけないことが沢山あります。
今回は主にフィリピンなどの東南アジアでの生活で体験した私生活と、仕事に関わってくる生活事情をお伝えします。
仕事もノーネクタイが基本!?小綺麗な格好は危ない?
正式な場所以外はクールビズが基本
東南アジアの国々で仕事をするとなると、日本のように常に背広を着て出勤し、社内でもその格好で働くという光景はあまり目にしません。大体の男性社員は背広を持ってくるか、会社に置いておきます。お客様が来社された時や、営業へ行く時に着るくらいで、社内ではほぼ着ません。
気温が常に30度以上ある東南アジアでは、ネクタイもなければ背広も着ないのが基本です。社内の空調は大体28度前後に設定されていますが、差し込む太陽光は強烈ですし、ブラインドを閉めてクーラーをかけていても、熱気がこもります。
女性ならオフィスカジュアルが望ましいですが、日本のオフィスカジュアルよりもかなりカラフルです。露出を控えめにし、清潔であることが優先されます。
冬物のスーツは持っていっても使う機会がありませんので、日本から持っていかない方が良いでしょう。ただでさえ衣類は嵩張りますので、買えるものは現地で買いましょう。ベトナムなどではオーダーメイドのスーツが格安で作れますので、現地調達するのも1つの手段です。
見るからに「日本人」的な格好は危ないことも!
日本人はお金持ちだというイメージは未だに海外に残っています。どんなに中国人の爆買いが世界各国で目にされていても、「日本人は平均して皆が中流階級である」という概念があるようです。
海外旅行をしていて、お土産物を高値でふっかけられたことのある方もおられるかもしれません。フィリピンのタクシーなどは、悪質な場合はメーターに細工をしたりしますので、「メーターをゼロに戻してから走ってください」と言わないとぼったくりに遭うこともあります。
また、基本的に買値はその場で決める方式のベトナムでは、値切ることで半額くらいになることもあります。
海外旅行者としてなら衣服代や飲食代が軽微な出費に思えても、現地に住んで高額な税金を払ったり、電気料金を払っていると、案外高く思えるのです。
小綺麗でブランド物を持っていたりすると、スリやひったくりなど余計な犯罪に巻き込まれることも少なくありませんので、会社へ行く際の服や靴などもブランド物は避けたほうが良いです。
生活費は常に逆算すべき!足りなくなる前に考えること
日本的生活スタイルは無理?意外とかかる出費
海外に住んでいても、日本と交易が盛んな国では「リトルトーキョー」などの日本人街などがあります。これらはいわゆる南米に移住した開拓民が作った日本人街ではなく、日本人経営の飲食店やマッサージ店などの集まりです。
接待などで用いられることもありますし、ランチタイムサービスなどもあります。しかし、安いかどうかと言われると日本で同じものを食べた時よりも1.5倍くらい値段が高いと言えるでしょう。
東南アジアで寿司や刺身が食べたくても、新鮮で生食できる魚が手に入らなかったり、保存が難しかったりします。そのためどうしてもコストがかかるのです。ランチタイムで日本と同じものを注文しても、数百円違いますし、日本のお菓子などの輸入品も2倍近い値段で売られています。
つまり、日本と同じ生活を維持しようとすると、かなりのコストがかかることがわかります。どこかで現地の製品や食事を取り入れたり、自炊をしないと貯金どころではありません。
自分に見合った生活をしているか?
よく、東南アジアで就職すると、物価の差を利用して遊び放題で豪遊できるのではないかという考えの方を見かけますが、答えは「できるが、帰国できなくなる」です。
特に人件費の安いフィリピンなどでは、毎日マッサージ店に通うことも、お酒を買って飲むことも可能です。しかし、あまりにも安いためにどんどん浪費していることもあります。
また、日本人が借りられるレベルのセキュリティや清潔さを持ったコンドミニアムに入居すると、だいたい日本円換算で5万は下りません。
その広さですと15畳以上のワンルームになることが多いのですが、フィリピンは電気代がとても高い上に、クーラーの効きもあまり良くありません。リモコンがなく手動で風量を変えければいけないコンドミニアムも多いです。結果的に広い部屋を冷やすために、クーラーを効かせすぎて、一ヶ月に何万も電気代がかかってしまうこともあります。
生活に必要な家賃、食費、衣類、日用品、交際費などを先に計算して、手元に残るお金でできる範囲の楽しみを見つけないと、どんどん豪遊から抜け出せなくなります。
さいごに
海外での就職を考えている方は、私生活もどのレベルでしたいかをきちんと明確にしておくべきです。
1年に2回は日本に帰りたいのであれば、航空券の費用なども確保するために、多少は我慢しなければならない点も多いでしょう。実際に現地採用の社員には帰国費用を出してくれる会社は少ないので、常に何かあった時に帰れるよう貯蓄をしておくことをおすすめします。
夢の海外生活が、不満だらけにならないためにも妥協する点とこだわりたい点をしっかり決めましょう。
【関連記事】
海外で働きたいと考えている方はこちらも要チェックです。