海外就職を希望する人の中には、夢の様な海外生活を想像される方もおられるかもしれませんが、実際は言語の壁や文化の違いなどから、ストレスを感じてしまうこともあるでしょう。
日本の中では、周りの人々と比べて、自分の稼ぎや経歴、学歴などにコンプレックスを感じたかもしれません。その様な環境が嫌で、日本を飛び出しても、人間というものは些細なものから人と自分を比べがちです。
今回は「比べないこと」を主眼として現地採用者が幸せに暮らすコツをお伝えいたします。
駐在員との待遇を比べるのは止めたほうがいい理由
日系企業には、2種類の日本人がいます。それは、駐在員と現地採用者です。
駐在員は、日本の本社の意向によって、海外赴任を言い渡されていますが、特にその国に精通している人が選ばれるわけでもありません。
海外志向のある人でも、希望していた国と全然違う国に赴任を言い渡されたという方もいますので、たとえ手当が暑く比較的裕福な暮らしができると言っても心底日本に帰りたいと思っている人はいます。
日本の本社が辞令を交付し、海外へ行かせるわけですので、家族のある人は、単身赴任で海外へ行くか、家族揃って海外へ移住するかの決断を迫られます。
家族に子供がいる場合、教育にかかる費用を会社側が少しは負担してくれても、将来の進学のことなどを考えて、頭を抱える人も少なくありません。高校や大学に進学させるため、妻や大きくなった子供達を帰国させ、離れ離れになって生活する方もいます。
その様な事情を聞くと、好きな時に海外へ行き、日本に帰国するのも自分の意思で決定できる現地採用者の方が気楽に思えます。
現地採用者の福利厚生は、日本の本社がカバーするものでなく、あくまで現地法人によって守られるものなので、当該国で必要十分とされていればいいのです。ですから、もし、福利厚生などの点で不満がある場合は、海外就職はおすすめできません。
自分はいつでも自由だと思うことで、解放感に溢れた生活ができると思います。
発展途上国ほど日本の物価に換算するのは無意味
近年は日本も、ディスカウントショップや100円均一などのお店が多くできましたので、質を問わなければモノが安く買えるようになりました。ですが、最低の品質も守られていますし、お手軽に安く買えるという意味で買い物をしている人が多いと思います。
しかし、発展途上国においては飲み物1つでも所属する階級が違うほど物価の差が大きいのです。例えば、中国では水1つを買うには、日本円にして30円あれば足ります。これは現地で製造されているものです。
しかし、欧米からの輸入品の水を買おうとすると5倍から7倍程度の値段がすることがあります。日本では水はだいたい100円前後ですが、同じ量で500円の水が売られていることはまずないでしょう。
ですから、「これは日本円に換算して何円」という風に、掛け算をしてもあまり意味がありません。1元はここ最近18円ほどをキープしていますが、18をかけるよりも1元は感覚的に数十円というくらいが正しいのです。
でなければ、有名コーヒーチェーン店のカフェラテが、現地人にとっての1000円分ほどになるというとんでもない現象が起こります。本当にその値段を支払って買うべきか?生活の質はどのくらいをキープしたいのかを考えて暮らさないと、日本で暮らすよりも貧困生活になってしまうでしょう。
周りの現地採用者との交流も適度な距離で
日本に住んでいた時に、どこの大学を出たかや、どんな会社でどのようなポジションにいたかについてこだわっていたり、コンプレックスがあった人は、いっそ日本を離れてしまいたいと思うでしょう。
しかし、実際海外に行くと、日本人コミュニティが日本よりも濃いムラ社会を形成しています。大学ごとのサークルがあったり、何年生まれという年齢が同じ人の集まりがあったり、とにかくどこかで誰かがあなたのことを知っている、話していると思っていた方がいいです。
「今度この地区に来た人は、こういう人らしい」のような噂も結構飛び交います。ですので、正直人付き合いが苦手な人ですと、かなり苦痛になるでしょう。特に駐在員の妻である奥様方の生活は、かなり豪華なのも真実です。
現地採用として働く女性からすると羨ましくもあり、実際は働いている自分の方が偉いと思ってしまったり、何かと自分と比較してしまいがちです。男性は男性で、やはり駐在員の方の給与や住んでいるマンションを比べてしまうでしょう。
同じ現地採用者でも、距離が近すぎると、会社としては同業他社のライバルだから仕事がしにくいというジレンマに遭遇することもあります。ですから、どっぷりとコミュニティに入り浸るよりは、自分が参加したいイベントにだけ顔を出す程度がおすすめです。
さいごに
海外で暮らしていても、日本人は日本人だということを痛感しますし、やはり同じ同郷の者がいると、一種の愛国心が生まれるのも事実です。日本人同士仲良くやっていくのも助け合いの一つですが、せっかく海外に来たのですから、より現地に根ざした生き方をした方が、貴重な経験をできるでしょう。
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